覚醒の鍵 かくせいのかぎ


光から闇へ行ったら
現実は夢になるかなぁ・・・・

楽になれるのかな・・・・


「おはようございます。
 本日のスケジュールですが・・・」

大きなイスに座り身を沈める様にの声を聞き
頷くと机の上に置かれた資料を手に持ち
印を押し端へ置いていく。

声のない部屋を紙の音、キーを叩く音が響き

何時までたっても音がない部屋に
小さなノックが響き、の返事が返ると
扉が開き、金色の光が入ると白の軍服が目に入り
書類を見ていたの顔を上げ

「カガリ?
 どうしたの?」

首を傾げ、手に持っていた書類を置き
前に立ったままで居るカガリの声をかけるが
睨み付ける様にキツイ視線は緩まず

、いくら化粧で誤魔化しても
 私の目は誤魔化せないぞ」

怒りの含んだ言葉にも
は首を傾げたまま

「何も誤魔化してないよ?」

それにお化粧は女性の嗜みでしょ?

無邪気とも見える声色と微笑でカガリに返すも

「質問を変える。
 何故食事を取らない?」

「ちゃんと食べてるよ?」

変わらぬカガリの態度と声
の微笑みも声色も変わる事無く
繰り返され、カガリはため息を付いた。

ストライクを巻き込んだイージスとの戦いをモニターで見ていた
はアークエンジェルからの人命救助要請に行くカガリに
同行し、ザフト兵であるアスランと再会をはたしてから
目に見て解るほど細くなった。

そして、表情を見せなくなった。

本人は笑っているつもりでも
相手にしている人物や回りから見ている者からは
息を止めてしまう程の微笑みを見せる。

笑っているのに、笑っていない

微笑んだ表情から動かない。

生きた人形の様な少女は
ガラスに亀裂が入った様に脆い雰囲気を出した。

「ところで用事はなぁに?」

変わらない表情のまま聞き返され
一瞬視線をキツクする為に目が細められるが

に来て貰いたい所がある」

「今から?」

「あぁ、今すぐにだ」

「解った。
 急いでコレだけ終わらせるから待ってて」

卓上に置かれた書類を手に持ち
カガリから視線を動かし仕事に専念し始める。

の待ってくれとの言葉に従い
備えられているソファーに腰を下ろし
を睨み付ける。

カガリに視線に気が付き、頷き返し
の帰宅準備をしだし、
出来上がっている書類を確認し、それぞれの部署へと提出する為
部屋を出た。


「アークエンジェルが
 無事、アラスカへと着いたそうです」

いつもの様に黒い色の高級車に乗り
カガリの目的地へと向かう中
の横へ席を取ったの声が響いた。

「そうですか。
 ラミアス艦長も少しは肩の荷が下りたでしょうね」

柔らかな声での労わりの言葉が紡がれると
車内は無音になった。

苦痛とも心地よいとも思えない無音の中
車は動きを止め、運転手がドアを開け外へと出ると
見慣れたマンションが立っており

「私の部屋に行くの?」

軍服を着たカガリが着て欲しいと言われ
ついてきた場所が軍関係でもなく
政治関係でもなく、自分が部屋があるマンションに
前を歩くカガリに疑問をぶつけるが
返答は無く、開かれたドアを潜り
エレベータに乗り、自室へと入って行く。

「カガリ、
 私、まだ仕事が残っているから帰って良い?」

ソファーへと座らせられ
置かれたカップを見ながら、前に座るカガリへと
言葉をかけるものの

「その事は良いから飲め」

「そうですよ。
 せっかくカガリ様がお入れ下さったのです。
 頂きましょう」

カガリとの言葉に
出されたカップを手に取り熱さに警戒する様に
ゆっくりと口の中に入れノドを通していく

じんわりと暖かさと甘さが体の中に行き渡る
感覚を味わうと眠気にも襲われ、瞼が閉じていくのが解った。

ダメ・・・・寝ちゃ・・・・

闇へと落ちて行く感覚に恐怖を感じ
光を求める為、手を伸ばすが届かず
落ちてゆく感覚を味わった。


視界に広がる闇
足元に広がる水らしきモノ
寒いとも暑いとも感じない適度な温度

何もかもいつか味わった感覚に首を捻る。

闇なのに暗くない
明るくないのに視界が暗い

1度体験している場所に警戒心は出ず
前を目指して歩く。

広がる波紋を視界の端に入れながら
1歩1歩前へと進んでいくと
緋色のキモノを着た少女が立っていた。

「こんにちわ」

微笑みながら挨拶をされ

「コンニチワ」

鸚鵡返しの様に挨拶を返す

「ドコカに行くのですか?」

見上げられる視線と言葉を受け
自分の行動をした意味を考えるも

「ううん、目的はないかな・・」

首を振ると

「では、私と一緒に行きませんか?」

少女の小さな手がの手を握り
尋ねる

「貴女は何処かに行くの?」

「はい。
 見に行くんです。一緒に行きましょう」

前へと引っ張られ、苦笑しながらも
嬉しそうにひっぱる少女に着いて行くと
前の闇が色付き始める。

「ここは?」

黒以外始めてみる色に思わず驚きの言葉を漏らす。

「怖がらなくても大丈夫です。
 見えてくるモノを一緒に見ましょう」

ゆっくりと確実に色が付き、形が見えると
3人の人が見えた。

少年と少女、そして幼女
3人とも同じ白のキモノに紺のハカマを着て
長い棒を振り回していた。

時には、幼女が少年に挑むが
すぐさま倒される。

見ていた少女が呆れ
少年は苦笑しながら答え
幼女は涙目になりながら起き上がっていた。

「薙刀をしているのですよ」

見ている風景に、少女の説明が付けられる。

「ナギナタ?」

「はい。
 ご存知ありませんか?」

少女の視線を感じるにも、見えているモノから視線が外せずにいると
色が薄れ、形がぼやけ始めた。

「もう、見えませんね・・・
 仕方ありません、進みましょうか」

黒が広がり、ようやく少女を見ると
真剣な表情で先きを促され、頷き少女と共に前へ歩き出す。

闇の中、確実に前へと進んで行くと
再び様々な色が出始め、形が出来始める。

中年男性2人と少女が1人
深刻な表情をしているのか真剣な少女の表情に
息を殺す様に小さくすると緊張が体中に伝わってきた。

優しそうな雰囲気を出す金色の髪と髭を持つ中年男性
キツイ雰囲気を出すものの灰色の髪持つ中年男性が
並ぶ様に座り少女と話をしていた。

「奥に座っている優しそうな方がシーゲル・クライン様
 手前に見える方はパトリック・ザラ様
 御2人共、地位のある方なんですよ」

どこか懐かしそうに話す言葉を聴くも
理解が出来ず、ただ雰囲気に押し出されまいと足に力を入れてた。

「御2人共、優しい方なんです。
 パトリック様なんてとても不器用な方で、
 怖いと思われがちなんですけど、凄く優しい方なんです」

消え行く光に中、聞こえる声が反響し闇へ吸い込まれた。

先ほどと同じ様に歩き出そうと、足を出すが
急に現れた眩しい光に飲み込まれそうになり
目と閉じると人のざわめきが聞こえ
恐る恐る目を開けると、柔らかな光と着飾った男女が見え
戸惑い首を動かし左右を見るが、どこかホールの様な大きい部屋
丸いテーブルには真っ白なクロスがかけられており
その上には多種多様な食べ物が乗っており、中央部分には花々で飾られていた。

高級感溢れ、人々からは気品が溢れ
華やか過ぎるのに何所か落ち着いた雰囲気が広がっているものの
やはり居づらさを感じ、手を握っていた少女を引っ張り移動を試みるが
少女の足が動かず、自然とも留まる事となった。

人々の楽しそうな笑い声を聞いていると、
視界にピンク色の髪を持つ少女が目に入り、無意識に見つめていると
柔らかく微笑み、少女に挨拶にくる大人達を相手にしていた。

凄い・・・
私が必死になってやっている事を簡単にやってる・・・

誰にでも優しさを与える微笑で次から次に来る大人達と
挨拶を交わす姿に釘付けになる。

そんな中、楽しそうな雰囲気が薄くなり
人々が大きなドアを注目していると、手を繋いでいる少女と同じ
緋色のキモノを着た少女が灰色の髪を持つパトリック・ザラに手を取られ入ってきた。

無音になった瞬間、ざわめきが聞こえるも
少女は聞こえていないのかパトリックに案内され
金色の髪を持つシーゲル・クラインへと進んでいく。

ホールの雰囲気とは合わずとも
少女の雰囲気には合っており、足音も出さず進んで行くと
その場から部屋全体の雰囲気が変わっていった。

「お招き有り難うございます」

右手に左手を重ね、前で合わせると
腰を曲げ、ゆっくりと頭を下げると髪が肩から滑り落ちる。

優雅にして雅な雰囲気を持つ少女は
どこかの古文書から出てきたのではないかと錯覚すら覚えさせた。

誰もが見とれる中
下げていた頭を上げ、微笑しながらシーゲルとパトリックと
話していると、先ほどのピンクの髪を持った少女が近寄り

「お父様、
 其方の方がトモエ・ユラ・アスハ様ですか?」

微笑みながら声をかけてくる少女に

「始めまして、トモエ・ユラ・アスハと申します」

「まぁ、ラクス・クラインですわ」

軽く会釈し名を名乗ったトモエに微笑み名前を名乗ると
シーゲルの案内で挨拶回りが始まった。

何十人と紹介されるも
トモエと名乗る少女は微笑み、軽く会釈をすると
2,3言葉を交わしてゆく。

あの子、トモエ・ユラ・アスハて名乗った!?
なんで?
どうして、この子と同じ子があそこに居るの?

手を繋いでする少女とが見ている少女を見くべる。

服も髪の長さも色も一緒・・・
輪郭も目も、何処もかも一緒

同じ人が2人いるの?
それともどちらかが幻?

見比べ、考えてみるが一向に答えが見付からず
混乱をし始めるか、柔らかなで嬉しそうな声が耳に入り
考えを消し去ってしまった。

「では、トモエ様が着て見えるお洋服は
 振袖と言う物なんですね」

「はい。
 本来ならドレスをと思いましたが、
 あいにく用意しておりませんでしたので
 失礼かと思いましたが、この振袖にいたしました」

硬い言葉ではあったがトモエとラクスが出す楽しそうな雰囲気に
シーゲルは目を細め微笑ましそうに見つめていると

「お父様、トモエ様と一緒に外へ出たいのですが
 よろしいですか?」

娘であるラクスと一緒に来たトモエの顔を見つめ
考え込むが

「トモエ様と海を見たいのです」

嬉しそうにはしゃぐラクスに頷き

「あまり遠くに行ないようにな」

「解りましたわ」

微笑み頷くと
トモエを伴いバルコニーから降りていく姿を見つめていると

「とりあえず、評議員に顔見せは出来たな」

いつのまにか背後に来ていたパトリックの言葉に

「あぁ、彼女はオーブ代表首長であるアスハの者だ。
 今後のプラントとの外交にも関わってくるであろう」

しいては、オーブにいるコーディネーター達の未来の為

シーゲルとパトリックのやり取りに
眉を寄せ睨んでいると
引っ張られ、少女に連れられて行くと
闇に出、違う場所にある光へと進んで行く。

芝生の若緑が広がり
子供達が楽しそうに走り回り
親達が微笑ましそうに見つめている中

トモエと名乗った少女と銀色の髪を持つ少年が
並んで腰を下ろしていた。

「私は、イザークが思った言葉を声にすれば言いと思うよ?」

「簡単に言うな」

「確かに言葉の裏は気になるけど
 エザリア様はそんな事、気にしないんじゃないかなぁ?
 それにイザークから話しかけられたら嬉しいと思うけど」

微笑みながらのトモエの言葉に黙り込んでしまったイザークに

「おはよう、いってらっしゃい、おかえなさい。
 挨拶だけでも私は嬉しいよ。
 頑張ろう!て思うし・・・
 あ、でもコレは私だけかも・・・」

首を捻り考え込んでしまったトモエにイザークが口元を少し緩め

「そうか、ではやってみるか・・・」

小さく呟く言葉に、

「やってみて!
 絶対エザリア様笑ってくれるから!
 私が保証する」

先ほどまで悩んでいた事もすっかり忘れたのか
微笑みはしゃいでいると
先に立ち上り歩き出したイザークの後を追い
大きな洋風の屋敷に入って行く。

出迎えてくれたエザリアにトモエに促され
視線を外し、小さな声で
ただいま
と、挨拶をしたイザークを嬉しそうにエザリアが微笑んだ。

その後、テラスでお茶を楽しんでいると
トモエと共にイザークが庭へ進んで行くが
いつまでたっても帰ってこない2人を見に来たエザリアが
イザークに寄りかかる様に眠るトモエに
トモエが落ちない様に支えているイザークに
驚きながらも、屈み、寝ているトモエの頭を撫ぜ

「トモエ様はイザークに気を許しているのね」

微笑みながらのエザリアの言葉に
疑問を表情で表すイザークに

「上に立つ者、特にオーブでは隙あらば
 その地位を奪おうとする者がいると聞いているわ。
 そんな中、気を許せばそこから隙が生まれ奪われる事になるの」

撫ぜていた手を休め
まっすぐイザークを見

「こんな風に初めて会った人の前で隙を見せるなんて事はしないわ。
 貴女もお披露目の時のトモエ様を見たはずよ。
 どこにも隙を与えなかったトモエ様がこうも無邪気に表情を見せ
 寝るなんて事はよほどイザークを信用しているということよ」

エザリアの言葉を視線をまっすぐ受け止めたのか
イザークが頷く

「なにより、貴方の声が聞る様になるなんて・・・
 トモエ様には感謝しても仕切れないわ・・・
 私は、母親として失格ね」

頷くイザークに微笑ましそうに目を細めるが
言葉を言い終わると苦笑し

ごめんなさいね、イザーク・・・

小さな声は風に乗ってイザークの耳に入ると
目を伏せ

「いえ、俺の方こそ・・・・」

声は風に乗りエザリアの耳に届くと
泣き出しそうな表情をした。

眠り続けるトモエとイザーク、エザリアを見ていると
また、色がぼやけ、形が無くなっていった。

「思い出されませんか?」

下から聞こえてくる言葉に
闇を見ていた目が動き少女を捕らえる

「トモエと呼ばれるワタシを見て
 貴女はナニも思い出しませんか?」

射るような視線に息を呑み
言葉に驚くと、先ほど消えてしまった疑問が思い浮かんだ。

「アナタはトモエ様なんですね?」

震える唇を動かし言葉を言うと

「そうです。
 私はトモエ・ユラ・アスハです。
 では、貴女はドナタですか?」

「わたし・・は・・・
 私はオーブ代表首長の娘、トモエ・ユラ・アスハ」

「そうですね。貴女は私ですね。
 でも、私ではない。
 もう1つの名前を持っている。
 そうではありませんか?」

もう1つ・・・・
脳裏思い出されるのは
嬉しそうに自分を呼ぶキラとアスラン

たしか・・・

「持ってる。
 ・ヤマト
 そう、呼んでくれる人達がいる」

思い出される出来事に涙が出て
頬を濡らす事が解った。

「良い名前ですね。
 付けて下さった方はどんな願いを
 込めてくださったのでしょうね」

労わる様に微笑み紡がれる言葉に
更に涙が流れ

「解らない・・・
 もう、聞けない」

震える声にもトモエは微笑む事をやめず

「我慢は良くありません。
 泣きたければ泣けばいいんですよ」

包み込まれる様な言葉に暖かさを感じ
流れ落ちるまま、泣き止むのを待ってくれた。

「ゴメンナサイ・・・」

濡れた頬を拭きながら
テレながら誤ってくる

「いいえ。
 気にしないで下さい」

首を振り微笑み返すが

、私と一緒になりますか?
 それとも別々のままいますか?」

いきなりの言葉に、今だ濡れている目を大きく開け

「一緒になるて・・・・」

驚きながら、紡げる言葉を言うと

「別にが消えるとかではありません。
 トモエと呼ばれていた時に記憶を共有するか、
 しないか、と言いたいのです」

「記憶を共有?」

「はい。
 今、見て頂いたのは私、トモエの記憶1部です。
 この記憶を貴女が見て、の記憶とする事
 それが共有です」

「共有したからと言って、トモエが消えない
 という事ですか?」

驚きの表情から真剣な表情に変わり
トモエとが視線を合わす

「1つの体です。
 それが記憶喪失になってしまいトモエの記憶を無くした。
 消えるも何もは私なのですから、
 消える事はありません」

「それは、無くなった記憶が戻るという事?」

「はい」

頷くトモエにまだ疑問をぶつける

「でも、別々でいるという事は・・・」

「記憶喪失のまま。
 と、言う事になります」

お互い視線を外さず言葉をぶつけ合う。

「だったら・・・」

一呼吸、間空けが唇を動かし言葉を作る

「だったら、トモエと共有がいい」

決意を込めた声に

「宜しいでのですか?
 楽しい記憶もあれば辛い記憶もあるんですよ?」

の決意を計る言葉にも
力強く頷き

「解ってる。
 でも、これ以上さんにもウズミ様にも・・
 ホムラ様・・・いや、お父様にも迷惑をかけたくないの」

まっすぐトモエの目を見て言う言葉に
トモエも頷き

「解りました。
 では、これからはきちんと寝て下さい。
 記憶は夢となって見ますので」

「解った。
 出来る限り寝る様に頑張るよ」

微笑む
苦笑するトモエ

「そろそろ時間ですね。
 では、またお会いいたしましょう」
 
繋いでいた手が離されると
緋色の霞だし、周りの黒色が灰色になり
次第に白色になった。



      ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


    
        第15話

            ちょっと主人公さんとトモエさんのお話を
            トモエさんはプラントへ行ったがあるのですよ。
                                     2003 10 15